テッペンカケタカ！

	ブログをはじめるログイン

ほととぎす　鳴きつる方を　眺むれば
他人の家に　卵産んでた

・・・百人一首ファンの方、すみません。

正しくは、

ほととぎす　鳴きつる方を　眺むれば
ただ有明（ありあけ）の　月ぞ残れる

です。

作者は後徳大寺左大臣（ごとくだいじのさだいじん）。
出典は千載和歌集です。

和歌の意味は、ホトトギスが鳴いた方角を眺めてみたが、ホトトギスの姿はなく、ただ明け方の月が淡い色の空に姿を残しているだけだった、というものです。

・・・というわけで、ちょっとホトトギスについて触れます。

※http://sugitetu2.blog11.fc2.com/blog-entry-206.html

「カッコウ目カッコウ科カッコウ属ホトトギス」という、ほぼカッコウな鳥です。見た目も習性もカッコウによく似ています。
夏鳥で、草原や森林に生息します。
ちょうど今頃、日本に来ています。

特徴的なのは、鳴き声と習性。

「聞きなし」という、鳥の鳴き声を意味のある言葉に置き換えたものをご存知でしょうか。
例えばウグイスの「ホーホケキョ」。・・・一見無意味な言葉の羅列ですが、「法、法華経」と書くとそれっぽくなります。

ホトトギスの聞きなしは、「テッペンカケタカ」とか「特許許可局」とか。
このまったく共通点のない二つの聞きなしが、同じ鳥のさえずりを表しています。早口言葉ではありません。

続いて、習性について。

ホトトギスは托卵します。ちなみにカッコウもします。
托卵とは、別種の鳥の巣に卵を産み、その巣の親鳥に抱卵・子育てさせるという習性です。ホトトギスは主に、ウグイスの巣に托卵します。
言ってしまえば寄生ですね。なんと図々し・・・考えられた生存戦略でしょう。自分で子育てする手間を省いたわけですね。
冒頭のふざけた和歌は、この習性のことを言っています。

ちなみに、実際に托卵の瞬間を見ることは難しいです。托卵が行われるのは、ほんの一瞬ですので。
もたもた産んでたら、家主（？）に見つかっちゃいますからね。

托卵の際、もともと巣にあった仮親（托卵先の親鳥）の卵を一つ取り除き、数合わせまで行う徹底ぶり。自分の子孫を残すため、野生動物は必死です。
しかも、托卵された卵は仮親の卵よりも早く孵化します。そして、仮親の卵（場合によっては雛）を巣から落とし、自分だけが効率よく成長できる環境を整えます。すげえ。
ホトトギスはウグイスよりも大きいですからね。兄弟（赤の他人ですが）と餌を分け合ってたら、栄養失調で死んじゃいます。
そして仮親は、よその子をせっせと育てるわけですね。巣立ちの時には、自分よりも大きくなり、同種とは似てもにつかない雛を見送るのです。
それでも仮親は気づきません。子育ては本能的な行動なので、でっかい口を開けて餌をねだられると、与えずにはいられないそうです。

野生の世界は波乱万丈です。